サプライチェーンの脱炭素について

皆さん、日本の交通・運輸(自家用車含む)から出る二酸化炭素量は、日本の排出量全体のどのくらいかご存じでしょうか?答えは18.6%です。一番多いのは発電所などのエネルギー部門で34.7%となっています。2050年までにカーボンニュートラルを目標としており、年間排出量11億794万トンをゼロにする必要があります。

 

  • EV車にしたからといって、二酸化炭素ゼロになるわけではない

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欧米や中国で、急速にEV化の波がきています。ヨーロッパや米国カリフォルニア州では2035年以降はガソリン車禁止です。まさに大きなゲームチェンジが起こっています。

しかし、全てをEV車にしたからといって、二酸化炭素量がゼロになるわけではありません。なぜかというと、電気を作るのにも二酸化炭素を排出しているからです。現在の発電所の構成比だと、EV車の二酸化炭素排出量はガソリン車の30%だと言われています。当然、今後再生エネルギーの割合が増えてくると、電力由来の二酸化炭素量は減ってきます。

 

 

過去を振り返ると、色々な環境対応車がありました。天然ガスバイオ燃料、そしてEVの一種ですがハイブリッドなど。

日本の乗用車はかなりハイブリッドが普及しています。燃費性能の向上により、二酸化炭素排出量はガソリン車の55%から60%です。日本の充電ステーションのインフラ環境を考えると、過渡期としては一番の選択肢になります。しかし結局はエンジンを使いますので、カーボンニュートラルは困難です。

大型車両では天然ガス車が一部導入されました。軽油に比べてパワーが出ないなどの問題点はありましたが、二酸化炭素量は約80%になりました。

バイオ燃料は、残念ながらほとんど普及しませんでした。植物由来の油脂、廃油をバイオディーゼルバイオエタノールに精製して、燃料として利用するものです。植物は成長するときに空気中の二酸化炭素を吸収するので、二酸化炭素フリーとして一時期もてはやされましたが、精製するのが難しく、また長期間利用するとエンジンが傷むなど問題点が多かったこともあり、残念ながらほとんど普及していません。そういえば日本のとある会社は、ミドリムシからジェット燃料を作って飛行機を飛ばそうとしてましたっけ。あれは今どうなったのでしょう。

 

  • さいごに

 

 結局は電力そのもののカーボンフリー化を達成しない限り、輸送部門におけるカーボンニュートラルは難しいということです。これは、水素燃料、アルコール燃料にしても同様です。水や天然ガスを分解する電気が化石燃料由来のままだったら意味がありません。

再生エネルギーは発電量の繁閑があるため、それをコントロールするための電力系統用の蓄電池も必要になってきます。アメリカではTeslaからパワーウォールやメガパックといった製品が出ています。EV車も最後はバッテリーが一番のキモになりましたが、再生エネルギーにおいてもバッテリーが重要ということでしょうか。そうなると、日本も今やタブー視されている原発の再稼働を真剣に考えなければならないかもしれませんね。