コロナβ株の意外な影響はこれから!
アメリカは世界でいち早くコロナ禍から回復し、人々は街に出て、経済も再開しています。しかし、β株の影響はこれから少しずつ出てくるかもしれません。アメリカ国内のβ株感染はおさまりつつあります。8月の雇用統計が悪かったのは、β株の影響でレジャー関連の雇用が一時的に停滞したからだと分析されています。一方、ベトナム、タイ、マレーシアなどの東南アジアではまだ収まっていない国が多いのです。
- どんな影響がでるのか
ナイキのシューズを一番生産してるのはどこの国か、皆さん知っていますか?答えはベトナムです。アディダス、ニューバランスなどの人気のスポーツメーカーや、ギャップなどのアパレルメーカーも同様です。ベトナムは今や中国に続く世界の工場になっています。しかも7~9月といえばちょうど秋冬物の生産をする時期。この時期の生産が出来ないということは、これらのブランドの秋冬物の商品が店頭に並ばないということです。小売業にとって大打撃と言っていいでしょう。
また、機械パーツもこれらの国で多く作られています。半導体不足で自動車や電機機器の生産が遅れているのはよく聞きますが、その他パーツも不足するとますます工業製品の生産に打撃を与えることになります。各メーカーの購買担当者は、当然急いで代替生産できる国を探すでしょうが、一定期間の影響は出てくるでしょう。
- SCMのリスク分散
かつては中国が世界の工場でした。次第に人件費が値上がりし、またカントリーリスクも顕在化してきたことから、東南アジアやインドへと生産を移行させています。一連のコロナ・パンデミックでの学びは、地域の分散によるリスク回避とある一定量の国内回帰です。アメリカは、重要物資の生産をアメリカ国内に戻そうと、大きく方針転換をしました。日本も半導体を中心に同様の試みをしています。
インダストリー4.0の中、急速な勢いでデジタル化、ロボット化が進んでいます。そうなると人件費の差による生産コストの違いは、これまでと比べると格段に減ってきています。今まで安い賃金を頼って新興国に進出していましたが、今後それほど必要なくなるかもしれません。少なくとも、グローバルベースで全量の生産を任せる必要はなくなるでしょう。規模のメリットは求めながらも、リスク・リワードと最適立地の観点から、生産拠点が選ばれることになると思われます。
- さいごに
β株によるスポーツブランドの生産遅れの話に戻りますが、秋冬物の生産がクリスマス商戦に間に合うかどうかが鍵になると思います。船便でベトナムからアメリカまで1か月以上かかりますので、9月中に生産出来なかったら、11月末から始まるクリスマス商戦に間に合わないかもしれません。それまでには、コロナが収まってくれることを祈るばかりです。